ChatGPTを使って情報を調べたり、資料を作成したりしても、その後の作業は人が引き継いでいるケースが多いのではないでしょうか。
営業活動では、顧客情報の収集から商談内容の整理、次のアクションの検討まで、さまざまな作業が発生します。
しかし、それぞれの作業が分かれていると、情報の確認や引き継ぎに手間がかかります。
こうした仕事の進め方を変えるのが、ChatGPTの「Plugins(プラグイン)」「Space(スペース)」「dots(ドット)」という3つの機能です。
外部ツールから情報を取得し、仕事に必要な背景や成果物を蓄積しながら、次の作業へつなげることで、AIの活用範囲が広がります。
本記事では、3つの機能の役割と、営業・リサーチ業務での具体的な活用方法を整理しました。

1.ChatGPTの3つの新機能は何が違う?

ChatGPTのPlugins・Space・dotsは、それぞれ異なる役割を持っています。
外部ツールから必要な情報を取得する「Plugins」、仕事に必要な情報や成果物を蓄積する「Space」、蓄積された情報をもとに継続的な作業を進める「dots」。
3つの機能の特徴を整理すると、次のようになります。

① Plugins|外部ツールの情報をChatGPTにつなぐ

項目内容
主な役割外部サービスとChatGPTを接続する
扱う情報メール、顧客情報、社内資料など
活用場面商談情報の収集、資料検索、情報整理
メリット複数のツールに分散した情報を活用しやすくなる

GmailやGoogle Drive、CRMなどの情報をChatGPTから参照することで、資料を探したり、必要な情報を集め直したりする負担を減らせます。

② Space|仕事に必要な情報や成果物を蓄積する

項目内容
主な役割業務に関する情報や成果物をまとめる
扱う情報AIとの会話、調査結果、議事録、提案資料など
活用場面案件管理、資料の共有、業務の引き継ぎ
メリット仕事の背景やこれまでの経緯を共有しやすくなる

案件やプロジェクトごとに情報を整理しておけば、過去のやり取りや判断の背景を確認しながら作業を進められます。

③ dots|蓄積した情報をもとに仕事を継続する

項目内容
主な役割情報やコンテキストを引き継ぎ、作業を継続する
扱う情報過去の業務内容、進捗状況、更新情報など
活用場面案件の進捗確認、市場動向の調査、定期レポート
メリット毎回ゼロから指示する負担を減らし、継続的な業務につなげる

これまでの業務内容を踏まえながら、新しい情報の確認や次の作業を進めることで、単発のAI活用から継続的な業務への発展が期待されます。

2.3つを組み合わせると、仕事の流れはどう変わる?

3つの機能を組み合わせると、AIの役割は「質問に回答すること」から「仕事の流れに関わること」へと広がります。
従来のAI活用では、必要な情報を人が集め、AIに渡して回答を得た後、次の作業は再び人が進めることが一般的でした。
一方、Plugins・Space・dotsを組み合わせることで、次のような業務の流れを目指せます。

流れ使用する機能業務での役割
STEP1|情報収集Plugins外部ツールから必要な情報を取得する
STEP2|コンテキスト蓄積Space資料や成果物、仕事の背景を蓄積する
STEP3|継続的な実行dots蓄積された情報を活用し、次の作業につなげる

営業活動に当てはめると、顧客情報の収集から商談記録の整理、次回のアクションの検討までを一連の流れとして捉えられます。
重要なのは、AIが一度回答して終わるのではなく、過去の情報を次の仕事に活かせることです。
情報の再入力や確認作業の負担を減らしながら、継続的な業務改善を目指せます。

3.活用例① 営業|商談準備からフォローまでを継続して進める

営業活動では、顧客情報の確認、商談準備、議事録の整理、次回提案の検討など、案件ごとに多くの作業が発生します。
特に、複数の案件を同時に担当している場合、過去のやり取りを確認するだけでも時間がかかります。
3つの機能を組み合わせることで、こうした作業をつなげて進める方法が見えてきます。

STEP1|Pluginsで商談情報を集める

まず、CRMやメール、会議記録、Google Driveなどから、商談に必要な情報を取得します。
収集する情報には、次のようなものがあります。

  • 顧客の基本情報と過去の商談履歴
  • メールでのやり取りや問い合わせ内容
  • 提案資料や見積書
  • 前回の商談で確認した課題や要望

これらを整理しておくことで、商談前に必要な情報を把握しやすくなります。

STEP2|Spaceに案件の情報を蓄積する

収集した情報を案件ごとにまとめ、商談の経緯や提案内容を整理します。
顧客の課題、提案済みの内容、未回答の質問、次回確認する事項などを蓄積しておけば、案件の状況を継続して把握できます。
担当者が過去の資料を探し直す負担を減らせるほか、担当者間で情報を共有する際にも役立ちます。

STEP3|dotsで案件を継続して進める

蓄積された情報を参照しながら、次のアクションにつなげます。
商談後に新しい議事録が追加された際には、前回までの情報と照らし合わせて、変更点や未対応事項を整理する使い方が考えられます。
さらに、フォローが必要な案件の確認や、次回商談に向けた準備項目の更新などにも活用できます。

営業業務はどう変わる?

3つの機能を組み合わせることで、商談前の準備から商談後のフォローまで、案件の情報を引き継ぎながら進めやすくなります。

これまで3つの機能を組み合わせると
商談前に情報を探し直す必要な情報をまとめて確認できる
過去の経緯を確認するのに時間がかかる案件の背景を引き継げる
次回の準備を担当者が一から整理する蓄積情報をもとに準備項目を整理できる

営業業務で使える指示例

CRM・メール・商談記録と、この案件のSpaceに保存された情報を確認してください。
前回の商談から変更された内容、未対応の課題、次回の商談までに必要な準備を整理してください。
新しい情報が追加された場合は、これまでの経緯と比較し、対応が必要な項目を更新してください。

4.活用例② リサーチ・企画|調べて終わらず、企画を更新し続ける

市場調査や競合分析では、必要な情報を集めてレポートを作成しても、時間が経つと情報が古くなってしまいます。
また、新しい情報が見つかるたびに資料を修正する必要があり、調査と企画の更新が別々の作業になりがちです。
3つの機能を組み合わせることで、調査結果を蓄積しながら、企画の改善へとつなげられます。

STEP1|Pluginsで必要な情報を集める

まず、調査に必要な社内外の情報を取得します。
対象となるのは、主に次のような情報です。

  • 業界動向や市場に関する資料
  • 競合企業の公開情報
  • 社内に保存された過去の調査レポート
  • 企画会議の議事録や関連資料

収集した情報を整理し、市場の変化や競合の動向を把握します。

STEP2|Spaceに調査と企画を蓄積する

収集した情報をSpaceにまとめ、調査結果と企画の内容を整理します。
市場の課題、競合との違い、企画の方向性、検討中の施策などを一つの場所に蓄積します。
調査結果だけでなく、「なぜその企画を考えたのか」という判断の背景も残しておくことがポイントです。
新しい情報が追加された際にも、これまでの検討内容との関係を確認しやすくなります。

STEP3|dotsで調査・企画を更新し続ける

蓄積された調査結果や企画内容を参照しながら、新しい情報を確認します。
競合企業が新しいサービスを発表した場合には、既存の調査結果と比較し、自社の企画に影響するポイントを整理します。
さらに、情報の更新だけでなく、市場の変化を踏まえた企画の改善案を検討することも可能です。

リサーチ・企画業務はどう変わる?

新しい情報を取得するたびに調査をやり直すのではなく、これまでの調査結果や企画内容を活用しながら、改善を重ねやすくなります。

これまで3つの機能を組み合わせると
調査のたびに情報を集め直す過去の調査結果を活用できる
新しい情報が出ると資料を作り直す既存資料との違いを整理できる
調査と企画の見直しが別々になる新しい情報を企画の改善につなげられる

リサーチ・企画業務で使える指示例

このSpaceに保存されている市場調査資料と企画内容を確認してください。
新しく取得した業界情報や競合情報を既存の調査結果と比較し、重要な変化を整理してください。
その変化が現在の企画に与える影響を分析し、見直しが必要な項目と改善案を提示してください。

5.業務に取り入れるときに押さえたい3つのポイント

Plugins・Space・dotsを組み合わせることで、情報収集から継続的な業務までをつなげることが可能になります。
ただし、機能を接続するだけで、すべての仕事が自動的に進むわけではありません。
実際の業務に取り入れる際には、次の3つを整理することが重要です。

ポイント確認したいこと
① 情報の取得範囲を決めるどの外部ツールを接続し、どの情報をAIに参照させるのか
② 蓄積する情報を整理するどの資料や成果物を残し、誰と共有するのか
③ AIに任せる範囲を決めるどの作業を継続的に進め、どこで人が確認・判断するのか

特に、営業活動や企画業務では、顧客情報や社内の重要な資料を扱う場合があります。
そのため、接続するサービスの権限設定や情報管理のルールを確認しながら、AIに任せる範囲を決める必要があります。
また、AIが作成した提案内容や分析結果については、最終的に人が確認・判断する工程を残しておくことも大切です。

Plugins・Space・dotsを組み合わせることで、必要な情報の収集から蓄積、継続的な作業まで、AIを活用できる範囲が広がります。
ただし、3つの機能を導入するだけで、業務全体が効率化されるわけではありません。どの情報を取得し、どのように管理するのか、さらに、どの作業をAIに任せるのかを整理することが重要です。
こうした業務の流れを見直し、自社に合ったAIの活用方法や仕組みを設計していく役割として注目されているのが、生成AIマーケターです。

AIを活用する業務の流れを整えても、実際に使う社員が各機能の役割や操作方法を理解していなければ、日々の仕事には定着しません。
営業であれば商談情報の整理や次回のアクションの検討、リサーチであれば新しい情報の確認や企画の見直しなど、業務に応じてAIを使いこなす力が求められます。
こうした使い方を実際の業務に沿って学び、社員一人ひとりがAIを活用しながら仕事を進められる状態を目指すのが、生成AI研修です。

まとめ|AIを「その場の回答」から「継続する仕事」へ

ChatGPTのPlugins・Space・dotsを組み合わせることで、外部情報の取得、仕事に必要な情報の蓄積、継続的な作業を一連の流れとして捉えられます。
営業では商談準備から案件のフォローまで、リサーチ・企画では市場調査から企画の更新まで、情報を引き継ぎながら進める活用方法が広がります。
重要なのは、3つの機能を使うこと自体ではなく、自社の業務のどこで情報を集め、何を蓄積し、どの作業を継続させるのかを設計することです。
AIに質問して回答を得るだけでなく、仕事の流れに組み込むことで、より実践的な業務効率化につなげられます。

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