仕事では、過去の成功や失敗から多くのことを学んでいます。
しかし、その経験が「自分の感覚」のまま残っていると、次の仕事で再利用したり、ほかのメンバーに共有したりするのは簡単ではありません。
生成AIを活用すると、過去の事例や判断、結果を整理しながら、「自分は何を重視して判断しているのか」を言語化できます。
今回は、過去の経験をAIに渡し、次の仕事で使える判断基準に変える方法を整理しました。
AIに渡すのは「完成した資料」だけではない
生成AIに過去の経験を活かしてもらうには、完成した提案書や報告書だけではなく、そこに至るまでの「事例」「判断」「結果」まで渡すことがポイントです。
結果だけでは分からない「なぜそう考えたのか」まで伝えることで、AIが自分や組織の考え方を踏まえて整理しやすくなります。
1.AIに渡すもの
過去の経験をAIに整理してもらうときは、次の3つに分けて情報を渡します。
| 種類 | AIに渡す内容 | 整理したいこと |
|---|---|---|
| 事例 | 成功した案件、失敗した案件、迷った案件、提案書・文章・会議メモなど | 何が起きたのか |
| 判断 | 何を優先したか、なぜその方法を選んだか、なぜ却下したか、どこを修正したか | そのとき、どう考えたのか |
| 結果 | うまくいったこと、失敗したこと、次に変えたこと、学んだこと | どうなり、何を学んだのか |
特に重要なのが「判断」です。
同じ結果だけを見ても、「なぜその方法を選んだのか」が分からなければ、別の仕事に応用することは難しくなります。
2.AIに整理・言語化してもらうこと
複数の経験をAIに渡したら、単純に要約してもらうのではなく、共通する考え方や判断基準を整理してもらいます。
| ステップ | AIにしてもらうこと | 目的 |
|---|---|---|
| 1.共通点を見つける | 複数の事例から、似た状況や繰り返している行動を抽出する | 経験に共通するパターンを見つける |
| 2.判断基準を言語化する | 何を優先し、何を基準に判断しているのかを整理する | 自分や組織の判断軸を明確にする |
| 3.仕事で使える形に整理する | ルール、パターン、チェックポイントなどにまとめる | 次の仕事で再利用しやすくする |
例えば、複数の成功事例を比較すると、
- 最初に顧客の優先順位を確認している
- 判断に必要な情報を早めに集めている
- 提案前に社内確認を済ませている
といった共通点が見えてくることがあります。
そこから、「重要な判断をする前に、顧客の優先順位と必要な情報を確認する」といった形で、自分たちの判断基準として整理できます。
3.仕事で返ってくる価値
過去の経験を判断基準として言語化すると、さまざまな業務で活用できます。
| 活用場面 | AIを活用してできること |
|---|---|
| 企画・提案 | 過去の成功・失敗を踏まえたアイデアや、説得力のある企画案をつくる |
| 文章・資料作成 | 自分たちらしい表現やトーン、伝わりやすい文章の型を整理する |
| 判断・意思決定 | 過去の判断基準をもとに選択肢を比較し、判断理由まで整理する |
例えば新しい企画を考えるときも、ゼロからAIに案を出してもらうのではなく、
- 「過去に採用された企画」
- 「採用されなかった企画」
- 「その理由」
まで渡すことで、自社の考え方を踏まえた案をつくりやすくなります。
4.まずはここから始める3ステップ
最初から大量の事例や資料を集める必要はありません。
まずは、身近な過去の仕事から3つの事例を選び、判断や学びを書き出してAIに整理してもらうところから始めます。
| ステップ | やること | 整理する内容 |
|---|---|---|
| 1.3つ選ぶ | 成功・失敗・迷った事例を1つずつ選ぶ | 成功した事例、失敗した事例、判断に迷った事例 |
| 2.5つの視点を書く | 各事例について、判断まで含めて整理する | 状況、判断、理由、結果、学び |
| 3.AIにまとめてもらう | 複数の事例から、共通する判断基準や考え方を整理してもらう | 共通する考え方、判断ルール、例外条件 |
そのまま使えるプロンプト例としては、
以下の事例から、私が仕事で重視している判断基準を整理してください。
「共通する考え方」「判断ルール」「例外条件」に分けてまとめてください。
とすると使いやすいです。
ポイントは、「事実」だけではなく、「判断」と「学び」までAIに渡すことです。
過去の経験をAIで活かすには、成功・失敗の結果だけでなく、「そのとき何を重視したのか」「なぜその判断をしたのか」「次にどう活かしたいのか」まで整理することが大切です。
事例・判断・結果をAIに渡すことで、複数の経験に共通する考え方や判断基準を言語化し、企画・提案、文章・資料作成、意思決定など、次の仕事で再利用しやすい形に整えることができます。
こうした生成AIの活用方法を、自社の業務に合わせて整理し、「どの情報をAIに渡すのか」「何をAIに整理させるのか」「どこを人が判断するのか」まで設計していく役割として注目されているのが、生成AIマーケターです。
整理する方法を一部の担当者だけが理解していても、組織全体の知識活用にはつながりにくくなります。
社員それぞれが、過去の事例から必要な情報を整理し、AIに適切に渡し、出力された判断基準や共通点を業務で使える形に落とし込めるようにすることが重要です。
企画・提案、資料作成、判断・意思決定など、実際の業務を題材にしながら、AIへの情報の渡し方や整理・言語化の方法まで実践的に学び、個人の経験やノウハウを社内で活かせる状態をつくるための取り組みが、生成AI研修です。
まとめ
生成AIは、新しい文章やアイデアをつくるだけでなく、過去の経験を整理し、次の仕事で使える形に変えることにも活用できます。
成功・失敗という結果だけを見るのではなく、「なぜそう判断したのか」までAIに渡すことで、経験の中にある判断基準を言語化しやすくなります。
過去の経験を「思い出」で終わらせず、企画・資料作成・意思決定で繰り返し使える判断基準として整理していくことが、生成AIを業務で活かす一つの方法です。
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